2009年9月27日日曜日

№200号記念) 2010年は乳母車と共存できる市民スポーツへ

ヨーロッパで大流行を見たこれまでのノルディックウォーキングは、スキーストックの改良ということから進歩してきた。そのことはなにも拙ブログの検証を待たずしても自明なことであり誰にでも容易にうなずけるものである。このノルディックウォーキングの、大地を金属突起で鋭く突き刺すノルディックウォーキングの方向性、それは果たしてこれからも世の人々に正しいものと評価されていくのでありましょうか

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フィンランド発のノルディックウォーキングは、雪面を鋭く突き刺すことでストック先端を固定し、そこに力を加えて推進力を獲得するという方法である。それがやがて春の野山を突き刺すこととなり、夏の波打ち際の砂地をも突き刺すことに広がった。さらに四季を通して硬いアスファルト路面をもその鋭い金属爪で突き刺しながら歩く、という方法を選択したのである。いずれにしろこの地面を突き刺す方法で四足歩行という素晴らしい運動方法を獲得し、多くの人々に感動を与えた。

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フィンランドの、はてまたヨーロッパに広がった各国で、スキーストックに慣れ親しんできた地域の人々は、それがスポーツ目的であるかぎり野山を突き刺す行為に寛容であって、さしたる反発の感情は見られない。むしろそれよりも突き刺すことで生ずる上肢への衝撃によって発症する、さまざまな傷害に関心があり、その回避方法をストック改良の課題にしてきたほどである。

 [例:竹田論文(3)世界の先駆者たちとノルディックウォーキング普及のための議論 ]

 「ポールの開発に関する話題では,誰でもが使いやすく,しかも手に衝撃の少ない用具はどうあるべきか,グリップや尖端のチップの形状はいかなるものが望ましいのか,」

 http://elib.doshisha.ac.jp/cgi-bin/retrieve/sr_bookview.cgi/U_CHARSET.utf-8/BD00011938/Body/027000460007.pdf


 及びhttp://jiro-murakumo.blogspot.com/2009/02/blog-post_28.html参照

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いまここにノルディックウォーキングをリードしてきたエクセル社は、来期2010年モデルを発表した。が、改めてその方向性というものを検証すると、たしかに上記のような傷害からの回避という課題を解決する意識、コンセプトそのものがうかがえる。つまり、あくまでもストックで路面を突き刺す機能の金属爪は堅持する。そしてその衝撃を緩和させるための方向性を選択し、金属爪の周辺に細工をしているようだ。反面、従来の摩擦力のある凹凸ビブラム状ゴムパットは見られず、それは危険な金属爪を隠すための“安全キャップに後退しているのではないか。

http://www.exelsportsbrands.de/downloads/kataloge/exel-Summer-catalog-2010-de-pris_screen.pdf

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これまで人々がストックで突き刺すことを許容してきた理由は、雪というものは春になればすべて跡形もなく融けて流れるものであるから、環境への悪影響は無い、という認識であったのだろう。また、野山や海岸を突き刺して歩く行為も、人口密度の低いそのような地域では、対人への悪影響も少ないものと見なし、被害は極めて限定的だと言うのかもしれぬ。

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だがしかしそこでは百歩譲っても、万国どういう形であれ舗装道路というものはインフラ施設であり人々の共有物であるのだから、ストックを突き刺す行為は倫理感からもとうてい許されるものではない。事実、わが街においてもストックで路面を突き刺して歩くという行為は即刻道義上からそれは非難される。また市街地ではストックを撥ね上げる行為も周囲の人々に脅威を与えるものとして許容されないことは明白である。

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であるからして人々はゴムパットを装着してその摩擦力でおとなしく歩く方法を選択せざるを得ない。しかし設計とテクニックはスキーストックを前提にしたものであるから、先端を撥ね上げる行為はそのまま残る。しかも歩き方は弱々しいものにならざるを得ず運動効果もまた同じく目だって満足な数値は求められないのだ。このように期せずとも残念な結果は、ことごとくスキーストックの概念から生まれた設計、そのものに起因するのである。

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2010年度に向けいま我われ関係者は、ストック歩行を市民スポーツ・生涯スポーツとして発展させることを念願するものである。が、それには例えば「乳母車と共存できる運動プログラム」といった安全性重視のコンセプトが必要なのではなかろうか。そしてもうそろそろスキーストックの概念から完全に脱却することが求められているのであり、いままでのような危険性は排除した四足歩行の戦略的特性を生かした設計に進化しなければならないと思う。

-ウエルネスウォーカーWellness Walker-


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