2011年3月29日火曜日

【東日本大震災】日立が社会インフラ復旧に注力,福島第一原発に約170名を,被災の火力発電所に約150名を派遣

日経エレクトロニクス:産業動向
【東日本大震災】日立が社会インフラ復旧に注力,福島第一原発に約170名を,被災の火力発電所に約150名を派遣


2011/03/28 23:00
小島 郁太郎=Tech-On!

 日立製作所は,3月28日に,今回の地震による日立グループへの影響および対応に関するお知らせの第3報を発表した(当該文書:PDF)。3月14日に発表された第1報(Tech-On!関連記事1),3月17日に発表された第2報(同2)に次ぐものである。

 発表された第3報は,(1)日立グループ震災復興統括本部の発足,(2)被災地に対する支援,(3)従業員の状況,(4)社会インフラの復旧に向けた対応,(5)生産拠点の状況に関して伝えている。これらの中では,(4)が最も詳しく説明されており,第3報では,グループ内の被災/復旧状況を伝える内容から,インフラなど社会全体の復旧への取り組みを中心に伝える内容に変わった。

 まず,(1)日立グループ震災復興統括本部の発足について。日立は地震発生直後に「日立グループ東日本大地震対策統括本部」を設置したが,3月23日にその機能を拡充して「日立グループ震災復興統括本部」(本部長:日立製作所執行役社長 中西宏明氏)を発足させた。被災した従業員とその家族への対応や東京電力福島第一原子力発電所への協力に加えて,被災地に対する物資や住宅の提供・ボランティア派遣,一刻も早い被災拠点の操業再開や生産復旧計画の立案と着実な実行のために,分野ごとに専任チームを立ち上げた。同統括本部を日立グループの司令塔として支援・復旧効率を最大化し,グループ一丸となって被災地の復興に向けた取り組みを推進する。

 (2)被災地に対する支援については,現在までに建設機械や薄型テレビ,乾電池,自治体向け被災者支援システムの無償提供などを含む総額6億円相当の支援を決定したとする。今後も被災地の状況に合わせて,迅速に追加支援を行うという。(3)の従業員の状況については,第2報と同じく,日立グループ社員・家族の被災状況について,継続的に確認を行っているとした。

 (4)社会インフラの復旧に向けた対応は,以下の(a)から(e)の5項目からなる。
 (a)東京電力福島第一原子力発電所への協力については,第2報に比べて詳細な内容になった。すなわち,3月11日の地震発生直後に日立製作所に24時間体制の「原子力緊急対策室」を設置した。日立グループの総力を上げて,1000名以上が対応にあたっている。また政府と東京電力の共同対策チームに技術者を派遣しているほか,技術者・作業者約300名体制の作業チームを結成した。原発所内の電源の復旧,原子炉圧力容器および使用済み核燃料プールの冷却に向けた作業のため,これまでに約170名を派遣し,全力で取り組んでいるという。日立は今後も,状況の改善に向けて,資材調達や技術支援などを通じて政府や東電に全面的に協力していくとする。

 (b)電力供給不足解消に向けた協力に関しては,(a)の福島第一原発対策とは別に,3月11日の地震発生直後に,被災した火力発電所の稼働再開支援のために,「火力緊急対策室」を設置したことを伝えた。これまでに,約150名の技術者を各火力発電所に派遣している。また,電力供給不足の解消を支援するために,各電力会社の要請に応じた提案活動を行っているとする。

 (c)情報・通信システムの復旧については,地震発生直後から全国各地の拠点から被災地に応援人員を派遣し,顧客のシステムの復旧に向けた作業を続けている。また,「災害対応受付センタ」を設置し,顧客の問い合わせに対応しているほか,被災した製品の保守サービスを特別価格で提供中とする。さらに,復旧・復興に向けて活動している企業や自治体,非営利団体向けに,クラウドサービス/仮想サーバーシステム/自治体向け被災支援システムを一定期間,無償で提供するという。

 (d)昇降機の復旧状況については,建物が全・半壊している場合や,昇降機の部品などの修理に一定の時間を要する場合を除いて,復旧を完了しているとする。

 (e)自動車向け部品の出荷状況については,地震の影響で一時出荷を見合わせていた完成品はすでに出荷したとする。また,3月25日より生産を再開した一部の製品についても,国内外への出荷を始めた(Tech-On!関連記事3)。

 (5)生産の状況については,第2報では,「損傷が確認されている主な生産拠点」として7カ所を伝えていたが,今回はそのうち3カ所を「操業再開に向けて復旧を進めている拠点」として紹介した(下図参照)。一方,残りの4カ所を含めて,合計9ヵ所を,今回,「一部もしくは全面操業している拠点」とした。さらに,第2報同様に,日立マクセル 大阪事業所が乾電池のフル生産を行っていることを第3報でも伝えた。

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