2009年9月6日日曜日

№195) 舗装道路のバーチャルデモストレーション (仮想演技)に騙されるな!

スイス・ダボス・クロスターホテルのHPより(クリックすると拡大
http://httpjiro-murakumo.blogspot.com/紹介記事あり

このブログの管理人ウエルネスウォーカーは、ノルディックウォーキングを長年にわたってウオッチングしてまいりました。またさまざまな角度からストックの使い勝手を検証してきました。本日はその立場でノルディックウォーキングのテクニックに関する少し複雑なお話を、誤解を恐れず私なりに展開し議論してみます。


なんといってもノルディックウォーキングの真骨頂は、ポール先端をグサリと、鋭く、草地や砂浜あるいは雪面に突き刺すことにある。


■改良されたREKIの鋭いポール先端

鋭く突き刺すことによってポールが固定し、その摩擦力によって、Wストックに床反力が生まれ、それが作用反作用の力学法則により、二足歩行+二足歩行=四足歩行という強力な推進力を獲得できた。これは人類の二足歩行以来とんでもなく痛快な出来事である。




したがって人々は、二足歩行とまったく違う四足歩行の、かつて味わったことのないこの快感を肌で実体験し、そこに強い感動を覚える。そしてそれが起爆剤となって、健康のための日常運動習慣獲得につながり、ここに何百万人もが取り組む一大ブームが巻き起こった



ノルディックウォーキングの大ブームが欧州に広がった背景にはこのような力学的原則を前提に、それを可能にしたフィールドつまり野山と、舗装されざる道が身近にある優位な地理地形的条件、グサリと突き刺さる先端の鋭いポールであっても市民に許容される社会的風土習慣、このような両側面があった結果に他ならない。



一方、アスファルトやコンクリートのような硬いフィールドでは、ポール先端がグサリと鋭く突き刺るということはけっしてない。その証拠に現状のポールは以下述べるごとく使い勝手がはなはだ悪い。このためノルディックウォーキングというものが市街地ではなかなか流行らないわけである。そのためにメーカーは摩擦力のあるさまざまなアスファルトパットを開発してきたのだが・・・。

■LEKIアスファルトパット(スパイク)

市街地の硬い路面で強い推進力を得るためには、力学的にポール角度を分岐点の45度以下にしなければならない。が、角度を低くすればするほど、残念ながらどのアスファルトパットもやはり先端は滑る。このように最も大切である摩擦力が得られないことから、強力な床反力を生むことができず、前に進む作用反作用の力学法則の応用は無理となる。(競技場のトラック&トレッドミル等は摩擦力があるので例外です)

逆にポール角度を分岐点の45度以上にして摩擦力を重視すると、床反力は生まれるものの身体重心は斜め上に持ち上がるという作用反作用の原理が働き、これが無駄な動きとなって正常なウォーキング運動を妨げる結果となり、見た目にも明らかにぎこちない(例外はお年寄り&歩行障害者専用ポールの場合、これは運動習慣獲得が主目的であるから許容される) [ぎこちない動きの ビデオ参照]。

http://www.youtube.com/user/HHPF01#play/all/uploads-all/0/kVxnhH_TspQ


以上使い勝手の悪い問題点がありながら、さも格好良く歩く方法がある。それはポール先端に力を入れず、スタイリッシュに格好よく歩いて見せるバーチャル・デモストレーションのことである。だがしかしこの場合は単にウキウキ歩きであり、肝心なポールには床反力が認められず、ポーズだけの手品と同じ演技に過ぎない。したがってメーカーが標榜するポールの運動効果とは矛盾する[ 見た目は格好いい ビデオ参照]。

http://www.youtube.com/watch?v=-mBBE5lS_ps

このように、草地などの軟らかい路面と、アスファルトの硬い舗装道路におけるテクニックをごちゃ混ぜにした仮想映像は実に多い。条件も効果も違うものを一緒にするこのような仮想テクニックを、鍛え抜かれたクロスカントリースキーの選手経験者ならば演技することができても、一般の人々には大変難しく、それを持続的に取り組んだとなると骨格筋系統の障害が発生する恐れがある[ 同一人物の ビデオ比較参照 ]。


http://www.youtube.com/watch?v=5w-dyvjluyQ


この映像を詳細に検証すると、ポールを突く力を意識的に抜き、かつ腕の長さを各関節で吸収することによって、重心が上下することを防いでいる。つまりその結果、床反力は求められず推進力は弱弱しいものに終始する。ベテランになるにしたがいこのようなバーチャルデモストレーションに依拠する傾向がある、が、それはポーズだけのもので課題としてある無理無駄矛盾の解決には至らない。


http://images.google.co.jp/imglanding?imgurl=http://www.nordicwalkingdorset.co.uk/images/nordicwalkeranim.gif&imgrefurl=http://www.nordicwalkingdorset.co.uk/&usg=__fA_QiTcKm2YElaDzWAWqhHfrxgs%3D&h=300&w=343&sz=124&hl=ja&sig2=GJgjnISog0fr5-ABPVh6gg&um=1&tbnid=-89evSycRBTM-M:&tbnh=105&tbnw=120&prev=/images%3Fq%3Dnordic%2Bwalking%26hl%3Dja%26lr%3D%26safe%3Doff%26sa%3DG%26um%3D1&ei=pASiSqPrH8eLkAW88qDPDw&q=nordic+walking&lr=&safe=off&sa=G&um=1&start=1


上記のアニメーション映像のポール角度は、約60度で始まり最終でやっと瞬間45度近く。そのため同じく腕の長さを各関節で吸収し重心の上下を防いでいる。ここでも推進力は弱弱しくポールの床反力はわずかなものであるため、標榜するポールの運動効果とは矛盾することを示している。


***

以上繰り返しますが、アスファルトにおけるノルディックウォーキング(市街地ストック歩行)のテクニックは、草地や砂浜・雪面などの場合と明確に区別することが必要である。 なぜならば両者は運動効果がまったく異なるステージ、条件の違うフィールドにあること。

例え舗装道路上でアスリートによって仮想演技(Virtual Reality) が出来るとしても、一般のプレーヤーがそれを真似して持続するとなると身体を壊すことにつながる。

アスファルトにおける運動効果は、草地や砂浜・雪面などの場合と同等の数値は求めることは出来ず、比較すると弱弱しいものであるから、将来人々の非難を免れることができないだろう。



  ■日本ノルディックフィットネス協会(JNFA)HP表紙より


いささか理屈ぽくなりましたが、このような力学原則に反する無理無駄矛盾を解決するため、ノルディックウォーキング、ポールウォーキング、スキーウォーキング、ストックウォーキングといった同じ「ストック歩行」を愛好するわれわれ関係各界は、その英知を集め理想的な次世代のアスファルト専用ポール(ストック)に進化発展させるべく、改良という課題に挑戦することが急務であると思考いたします

皆様におかれましてはこのような問題をはたしていかがお考えでありましょうか?

-ウエルネスウォーカー 拝-



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