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【サッカーを科学する】
(1)勝利の条件は「高地に勝つ」 選手コンディションに加えボールの弾道も変化 (産経ニュース:2010.5.27 01:37)
W杯試合会場の標高とボール速度の変化
1902年の雪中行軍遭難事故など厳しい自然環境で知られる八甲田山(青森市、1584メートル)。日本代表はW杯南アフリカ大会で、標高が同山とほぼ同じブルームフォンテーン(対カメルーン、標高1400メートル)とルステンブルク(対デンマーク、同1500メートル)で2試合を戦わねばならない。
陸上の高地トレーニングの地として標高約1600メートルの米コロラド州ボルダーが知られているが、酸素濃度や気圧が低下し、高齢者では高山病を発症する危険性もある場所だ。「岡田JAPAN」は相手チームとは“別の戦い”も強いられることになる。
一般的に、持久力の指標となる「最大酸素摂取量」は標高1500~2000メートルでは、10%前後低下するといわれる。元日本陸連医科学委員長の小林寛道・東京大名誉教授は「サッカーは有酸素運動の部分が強く、トレーニングしないと前半は戦えても、後半に疲労で動けなくなる」と指摘する。
さらに、小林名誉教授はボルダーでの陸上選手の体調変化などを見てきた経験から「毛細血管の収縮も起き、末梢に血液が回りにくい状況ができる。疲労しやすく回復しにくい体になる」という。
当然、各チームとも高地対策は進めている。26日、日本代表は、標高1800メートルのスイス・ザースフェーで事前合宿に入った。高地トレーニングに詳しい杉田正明・三重大准教授を事前合宿に同行させ、合宿前には低酸素マスクで体を慣らす準備をしている。
ドメネク監督率いるフランス代表は18日からフランスアルプスのティーニュで恒例の1週間の特別訓練を実施した。標高3656メートルのグランデモット氷河に登り、山頂付近で1泊するなど過酷な訓練を行っている。
それでも「オーバーワークは厳禁。4、5日で体は環境に慣れる」と指摘するのは小林名誉教授。最初は軽い運動を数日続け、3割程度睡眠時間を増やすことが効果的だという。血管拡張作用のある一酸化窒素の原料で、アミノ酸の1つである「アルギニン」を投与するなどの対応策もある。
また、高地の順応能力には個人差があり、不眠や食欲不振などの選手は要注意。小林名誉教授は「トレーニングをしても順応しきれない人が2割はいる」と警告する。
早大スポーツ科学学術院の村岡功教授は「順応するのであれば、高地で1日10~12時間の睡眠をとるだけの方法もある」と指摘。環境に慣れる一方で、トレーニングを平地で行い、疲労の蓄積を抑えることが狙い。逆に、国立スポーツ科学センターの「低酸素トレーニング室」で短時間運動することが有効だとする専門家もいる。
平地に比べ、高地は低圧になるため、空気密度が低下し、意外な影響を生む。筑波大の浅井武教授の調査によると、標高0メートルの空気密度を1とすると、ブルームフォンテーンやルステンブルクのある1500メートルでは0・86にまで下がる。秒速30メートルでけり出したボールの1秒後の速度は、平地で秒速24・19メートルとなるところが、24・98メートルまでしか減速しなくなるという。
そのため、1秒後には約40センチの差が生まれ、トップレベルの選手のミドルシュートでは、「ボール1個から1個半ほど速くGKに到達する」(浅井教授)というのだ。
相手との戦いだけでなく、高地との戦いを制したチームに、勝利の女神がほほえみそうだ。
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W杯南アフリカ大会はアフリカで初というだけでなく、高地で季節は冬という点でも特異な大会だ。選手の技術も“進化”しつつある。サッカーを「科学」の視点から分析する。
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頑張れ日本!!!
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